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日本経済

内部留保(利益剰余金)とは何か。お金の状態を知らずに経済を語るな

更新日:

大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2019年5月29日(令和元年5月29日)

内部留保という単語を使うべきではない

本日は基礎的な経済関連記事であり、会計学的なお話になります。
最近、小沢一郎氏(以下敬称略)の事務所のTwitterで、次のようなつぶやきがございました。

@ozawa_jimusho より

まず、結論から申し上げますと、上記の内部留保に関する記述は完全に間違ってます。

正直に申し上げて、どこから指摘すればいいのかわからないほど決定的に間違えているのです。
本日は内部留保に関する決定的なお話をします。

まず、内部留保というものは会計学上存在しません。

いわゆる俗語でございまして、正式な学術上の単語ではございません。
したがって、経済政策を語る上で内部留保という単語を使用すること自体がそもそも間違いなのです。

まず、そこは指摘させていただきたいと思います。

内部留保とは何か

それでは、内部留保とはどのような定義の単語としてこれまで日本人の脳内に定着しているのか、そこを明らかにしていきたいと思います。
東海東京証券株式会社のWEBページより、内部留保の説明を見てみましょう。

法人税を控除した企業の最終利益から、配当金、役員賞与などの外部流出資金を差し引いた残りのこと。
長期投資にふさわしい銘柄を選ぶなら、商品の魅力や売上高成長力だけでなく、内部留保の厚さにも目を向けるべきだ。企業の蓄えを内部留保と呼ぶのが定着しています。
狭い意味では貸借対照表の「利益剰余金」が内部留保に相当すると考えていいでしょう。会社法の考え方では、企業の資産は最終的に株主の物です。
内部留保も当然、株主に帰属します。
内部留保が厚ければ、設備投資や大規模な買収といった企業行動の選択の幅が広がり、金融不安が減ることで、銀行が貸し渋りしてもすぐには困りません。
業績が多少悪くても、内部留保の一部を取り崩して安定配当を続ける会社も少なくありません。

https://www.tokaitokyo.co.jp/kantan/term/detail_1913.html

実は上記の内部留保の説明では2種類の内部留保に関して説明しています。

1つ目はフローの内部留保です。

簡単に説明すると、民間企業の収益から、その収益を得るために必要だった経費を差し引き、税金などを納め、配当金や役員賞与などの支払いを済ませた残りという意味です。

フローの内部留保と定義させていただきます。

これは損益計算書で表記される当期純利益のことであるとご理解ください。
参考URL: https://www.freee.co.jp/kb/kb-accounting/bs-and-pl/

※この記事ではこれ以上取り上げません。
※少なくとも、フロー概念の内部留保もあると申し上げたいだけです。

2つ目はストックの内部留保です。

簡単に説明すると、貸借対照表の資産の部において「利益剰余金」という勘定項目において記載されているものになります。

財務状況を示す貸借対照表で計上されているという意味で、ストックの内部留保と定義させていただきます。

上記でご紹介しました、小沢一郎(事務所)のTwitterのつぶやきを分析しますと、どうやら貸借対照表の「利益剰余金」を指して、”企業の内部留保は過去最大の446兆円。

大企業や銀行にだけお金が貯まっていき、家計は疲弊、借り手のない賃貸住宅にだけお金が回る。”と言っているようです。
参考URL: https://www.asahi.com/articles/ASL933C3QL93ULFA002.html

利益剰余金とは現金・預金のことではない

さて、「利益剰余金」が全産業(金融保険除く)において446兆円程度であるというのは嘘ではございません。

しかしながら、その「利益剰余金」は全額、現金もしくは預金という形で民間企業が保有しているわけではありません。

財務省の法人企業統計からグラフを作成しました。
ご覧ください。

青色の棒が「現金・預金」です。
オレンジ色の棒が「利益剰余金」です。

2017年度の結果を見ますに、「現金・預金」は200兆円を超えたところですが、「利益剰余金」は確かに446兆円程度です。

あれれ?おかしいぞ?(名探偵コ〇ンwwww)
少なくとも200兆円の差がありますよ?

小沢一郎(事務所)さんは企業内部にお金が貯め込まれていると思い込んでいるようです。

経済政策の現状認識という観点から申し上げますと、完全なる誤りです。
全産業(金融保険を除く)において446兆円のお金があるわけではありません。

利益剰余金をどのように解釈するべきなのか

ここから先は私なりに勉強した結果、利益剰余金をどのように捉えればいいのかという結論を申し上げたいと思います。
※ご指摘いただき、誤っているとわかればすぐに訂正します。

利益剰余金(ストックの内部留保、もしくは狭義の内部留保とされている)は過去において、どれくらい「当期純利益」を積み上げてこれたのかを示す勘定項目です。

企業の内部にどれくらいのお金が貯め込まれているのかを示しているわけではないのです。

どんなに民間企業の「利益剰余金」が多くても、過去の「当期純利益」の分のお金を利用して設備投資などを行っている場合は貸借対照表の「現金・預金」が少なくなります。

なぜならば、設備投資する場合、まず手元の「現金・預金」を活用するからです。

つまり、内部留保=「利益剰余金」とするのは間違いなのです。
あえて、内部留保という言葉をできるだけ実情に合わせた形式で使用するのであれば、内部留保=「現金・預金」と定義した方がよろしいと思います。

ニュースで、内部留保に言及があれば、内部留保の定義をしっかりと見た方がよろしいかと存じます。

ないものをあると見せかける・・・悪意があるのか、単に貸借対照表と損益計算書の内容を知らないだけなのか。

以上です。

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