ドイツ銀行が再起不能になりました。
大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
ドイツ銀行の凋落傾向が決定的
ドイツ銀行が歴史的な事業縮小の一環としてヘッジファンド向けプライムサービス事業から撤退し、フランスのBNPパリバが業務を引き継ぐと発表された時、BNPは機会をうまく捉えたと見られた。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-07-16/PUQOKST1UM0Z01
だが、現実はそれほど簡単ではない。
ドイツ銀行はヘッジファンド向けプライムサービス事業から撤退することになりました。
その事業の引き受け手はライバル銀行である「BNPパリパ」なのだそうです。
ヘッジファンド向けの事業を手放し、なおかつライバル銀行の躍進を助長するかのような決定によって、ドイツ銀行の凋落は決定的と言えるでしょう。
ドイツ銀行が再起を図るためには、地道な努力で顧客を確保して、長期的な資産運用を行い、実績を積み上げるしかありません。
実績を積み上げて、それが顧客増につながり、さらなる利益を確保するという好循環を生み出さない限り、再起は難しいでしょう。
先日のドイツ銀行を取り上げた記事でもご紹介しましたが、ドイツ銀行はとうとう大規模な人員削減に着手しなければならない時期になったということのようです。
ドイツ銀行のゼービングCEOは1万8000人の人員削減計画を発表し、なおかつ投資銀行部門の事業縮小と資産売却にも着手しました。
ヘッジファンド向けのプライムサービスは1500億ユーロ(約18兆2200億円)もその一環であり、お金が一気にドイツ銀行から離れるということのようです。
どう考えても、その金額の大きさは一朝一夕では回復できないと思います。
事業縮小とは言え、その穴は大きく、ドイツ銀行の凋落傾向は決定的と申し上げた次第です。
バッドバンクの設立は道理だが・・・
だが、こうした“救済策”はまとまらず、19年7月上旬には株式売買業務からの撤退や、投資銀行部門の資産740億ユーロ(約9兆円)の切り離し、22年までに全行員の2割に当たる1万8000人を削減することを発表した。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00019/071600075/
不良債権やリスクの大きい金融商品などを別銀行に押し付けて、ドイツ銀行自身は助かろうと、バッドバンクを設立したようです。
上記の記事によると、740憶ユーロ(約9兆円)なのだそうです。
ハイリスクハイリターンの資産を別銀行に押し付けるのは妥当な判断だと思います。
ただ、そのハイリターン資産からの利益も得られなくなるのではないかと心配になります。
また、1万8000人の人員削減による利益低迷も心配です。
はっきり申し上げて、ジリ貧と言えます。
どのような経営再建になるのか、イメージが掴めません。
ドイツ銀行はグローバル化に対応できず
上記のような経営再建への不透明感が漂う中、ドイツ銀行の組織に問題があるのではないかという指摘があります。
私も同意見です。※参考記事
ドイツ銀行の経営陣の大半をドイツ人が占め、グローバル化に対応できていないと思います。
欧州系以外の人材を経営陣に登用できていないため、欧州以外の地域でのリスク把握が難しくなりました。
したがって、ドイツ銀行はマネーロンダリングに関連して、アメリカ当局に罰金を支払うことになり、株式業務の収益性が低下していきました。
ドイツ銀行は労働組合が強い民間の金融機関です。
それも柔軟な経営の阻害要因となります。
また、組合があまりに強いという側面も見逃せない。昨年、ドイツ銀行はコメルツ銀行との経営統合を試みた。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00019/071600075/?P=2
だが、経営統合に伴う人員削減を恐れた組合が、統合に強硬に反対し、破談に追い込んだ。
皮肉なことに、自力再建の計画によって1万8000人もの人員削減を迫られてしまった。
ドイツ経済の低迷と低金利
ドイツ銀行は今後、株式投資などのリスクが高い業務を縮小して、商業銀行業務に軸足を移すという報道がございます。
参考URL: https://premium.toyokeizai.net/articles/-/21042
私はその方向しかないと思いますが、ドイツという国家が緊縮財政により経済が低迷したままなので、収益はあまり芳しくないでしょう。
ECB(欧州中央銀行)の低金利政策により、国債などの安全資産を購入しても収益が増えにくいという現状では経営再建は難しいと言わざるを得ません。
ある意味、両手両足を縛られたまま、フルマラソンを完走せよと強要されているようなものです。
仮に、ドイツのメルケル首相が、いきなり財政出動を継続的に行い、ドイツ経済が復活して、貸出先が増えるのであれば、リスク資産に投資する必要も無く、収益が改善するでしょう。
現状のように、低金利だとリスクの大きい資産に投資しなければ、株主の要求する配当を出すことができません。
緊縮財政とは、民間活力を奪い、金融機関の収益を圧迫するので、リスク資産に投資しなければならない状況を作ってしまいます。
その影響で、金融機関がリスクを取り、金融機関破綻のリスクが高まってしまうのです。
ドイツ銀行は緊縮財政の影響で、今後もリスクの高い経営に邁進すると思われます。
ドイツ銀行を救済する方法はある
であるならば、ドイツ銀行を救済する方法はあるでしょうか。
私には腹案があります。
まず、CDS(クレジットデフォルトスワップ)のような危ない金融商品の取り扱いを辞める。
ドイツ政府は公的資金をドイツ銀行に注入しながら、最大限の財政出動をする。
民間金融機関の貸出金利が10%を超え、インフレ率が4%を超えるまで財政出動を継続するのです。
そうすれば、ドイツ銀行はデリバティブに頼らないで、商業銀行として成り立つことができます。
上記以外の方法で、ドイツ銀行は復活しません。