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世界経済

イギリスの減税とインフレ抑制策をさらにアップデートして財政出動へ

投稿日:

イギリス

大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2022年10月5日(令和4年10月5日)

本日はイギリスのトラス首相の経済対策に関して大雑把にまとめた記事になります。

法人税の増税計画廃止と所得税と印紙税の減税

クワーテング氏は9月23日、大幅な政府借り入れを前提とした450億ポンド規模の減税政策「ミニ・バジェット(小さな予算)」を発表。
所得税や住宅購入の際の印紙税を減らすほか、法人税の増税計画も廃止するとした。

引用元:英財務相、減税政策で「Uターン」 45%の所得税率の撤廃案を撤回

イギリスのクワーテング財務相は大規模な減税政策を発表しました。

所得税や住宅購入時の印紙税を減税し、法人税の税率引き上げ計画を廃止するそうです。

イギリスではインフレが加速しており、物やサービスへのアクセスが困難になっております。

そのような状況下においては、供給力の拡大が必要であり、それを促す政策が求められます。

率直に申し上げて、法人税の増税計画はそのままで、設備投資減税や賃上げ減税を盛り込むのが一番効果的だと思います。

増税のメリットとは節税意欲の増進ですから、効率的に物やサービスを生産するために設備投資をする企業へ減税措置するべきです。

また、労働者階級が物やサービスを購入しやすいように、賃金水準を引き上げた企業にはご褒美を与えた方がよろしいのではないかと。

印紙税に関しては、住宅購入時の税金のようですから、それを減税対象とするのは当然ですね。

問題は、所得税でして、これがひと悶着あったようです。

所得税の最高税率の引き下げは悪手である

今回撤回されたのは、年収15万ポンド以上の人に課されている45%の所得税率を撤廃し、一律40%にする案。
生活費が高騰する中で不公平を生むものだと非難を浴びていた。

引用元:英財務相、減税政策で「Uターン」 45%の所得税率の撤廃案を撤回

所得税とは、文字通り所得に対する課税であり、景気の自動安定化装置(ビルトインスタビライザー)として機能しております。

減税することで、物やサービスを購入しやすくすることで、イギリス国民の生活を楽にするべきなのに、最高税率を引き下げるのは間違いです。

この所得税の最高税率の引き下げ案は撤回されたそうなので、イギリス政府の柔軟さにまずは拍手するべきでしょう。

所得格差を助長する所得税の最高税率引き下げは悪手と言えます。

このような金持ち優遇とイギリス国民の分断を煽るようなことは慎むべきかと。

イギリスは光熱費の上限額を設定か

ロシアのウクライナ侵攻の影響を受けたエネルギー価格の高騰や10%を超すインフレで、国民は「生活費危機」に苦しむ。
女王が死去する数時間前には、家庭の光熱費の上限を10月から年2500ポンド(約41万円)に固定する救済策を発表。
21日には企業や商店の光熱費に上限を新設することも決定した。

引用元:イギリス・トラス新政権、減税政策発表後にポンド急落 「トラスノミクス」に批判続出で前途多難

やはり、欧州各国はウクライナ侵攻の影響を多大に受けているようです。

イギリスではインフレ率が高止まりしているようでして、家庭の光熱費の上限を10月から年間で2500ポンドに固定する救済策を実施するそうです。

また、2022年9月21日には企業や商店の光熱費に上限を新設することも決定したとのこと。

イギリスの経済対策規模が過大なのではという懸念がありますが、インフレ対策費として計上しているのなら、問題ありません。

インフレなのに減税とは、政策が真逆なのではと考える市場関係者が多いようですが、インフレの問題の根本を理解しておりません。

今回のようなコストプッシュ・インフレ(費用増大型物価上昇)の場合、物やサービスが一方的に値上がりしてしまい、必要な物やサービスを購入できないのが問題なのです。

冬厳しいのに、灯油が買えないようなものであり、深刻な健康問題を引き起こす可能性もあります。

であれば、光熱費の上限額を設けるなどして、家庭負担を軽減する政策こそ必要なのです。

インフレ抑制策の仕組みを細かく分析すると・・・

その支援策には、政府が保証する融資をエネルギー供給業者に提供し、供給業者は家庭の負担額を凍結する、もしくは引き下げる仕組みが盛り込まれる見通し。
融資返済は今後10~20年かけて、利用者への請求額を通じて返済していく仕組み。

引用元:トラス英保守党党首、エネルギー危機対策を約束 6日に新首相就任へ

イギリスが政府支出を増やしてエネルギー供給業者に提供する代わりに、一般家庭の光熱費負担を軽減するわけではないようです。

補助金として支給するのではなく、融資してしかも返済資金は将来のイギリスの一般家庭への請求額から確保するとのこと。

要するに、このインフレ抑制策は資源価格高騰に伴う費用負担の先送りのようなのです。

緊縮財政の影響を受けたトラス首相はできるだけ政府支出をせず、融資という形式にしたいようです。

そういったところは日本を真似しない方がよろしいのではないかと。

補助金の支給やエネルギー取引に関する各種税制を一時的に0%にするなど、抜本的な対策が必要です。

今後、イギリス政府は方針を転換するかもしれませんが、何とか一般家庭を直接支援してほしいです。

経済対策の3分の1以上がインフレ対策

一方、トラス首相が今月上旬に表明した、家庭と企業の光熱費の抑制策をめぐっては、半年間でおよそ600億ポンド、日本円でおよそ9兆5000億円を拠出する必要があると明らかにしました。

引用元:イギリス政府が大型減税など経済対策を発表 財政悪化の懸念も

イギリスの経済対策は日本円換算ですと約25兆円程度であり、トラス首相は半年間で約9兆5000億円規模のお金をインフレ抑制策として拠出するとのこと。

上記の減税策も含めて、経済対策が発表された際に、ポンド安、イギリス国債の価格下落、イギリス株の価格下落が発生しました。

これを受けて、イギリスの中央銀行であるイングランド銀行は2022年9月28日に、国債の無制限購入を宣言しました。

変動相場制を採用し、自国通貨発行権を保有する中央政府に財政的予算制約は存在しません。

それは我が国日本同様、イギリスにも当てはまります。

英イングランド銀行(中央銀行)は28日、債券市場で英国債の利回りが急激に上昇(債券価格は下落)したことを受け、国債を緊急で買い入れると発表した。
残存期間20年超の国債を対象に10月14日まで、市場の安定に必要な分だけ金額無制限で実施する。
10月上旬に予定していた保有国債の市場での売却開始は同月末に延期する。

引用元:英中央銀行、国債を無制限購入 市場安定へ臨時措置

このおかげで、市場の混乱は回避され、ポンド安とイギリス国債の価格下落は経済対策発表前の水準にほぼ戻りました。

やはりキーボードタッチするだけでお金を創造できる中央銀行を保有しているのかどうかは決定的に重要ですね。

経済政策がかなり楽になります。

今後とも、イギリス経済の動向には注視していきたいです。

以上です。

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