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反逆する武士

世界経済

新興国の中央銀行が金を購入し信用力を高めようとしているが失敗する

更新日:

金(Gold)
写真AC「ロスカット魔人さん」より借用

大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2021年12月27日(令和3年12月27日)

かなり興味深い中央銀行の動向がございまして、現代貨幣理論とも関係しそうなので、取り上げたいと思います。

新興国の中央銀行が金(Gold)を購入している

世界の中央銀行や公的機関が外貨準備資産として金の保有量を積み増している。
2021年の総保有量は1990年以来31年ぶりの高水準に膨らんだ。
大規模な金融緩和などでドルの供給量は膨らみ続け、金に対する価値は大幅に切り下がった。

引用元:世界の中銀、ドルから金へ 保有量が31年ぶり高水準

我が国日本の中央銀行である日本銀行がその最たる例でしたが、外貨準備資産として、USドルを保有しておりました。

最近においては、新興国の中央銀行が外貨準備資産として、金(Gold)を積み増しているそうです。
詳細に関しては上記引用元記事を見ていただきたいのですが、ポーランド中央銀行やハンガリー中央銀行が相次いで金(Gold)の積み増しに動いているそうです。

個人投資家という立場から申し上げると、外貨準備資産として金(Gold)を購入するというのはお勧めできません。
金(Gold)は米国債などの債券と比べ金利がつかないデメリットがあり、株式のように本質的な利益追求行動が裏付けとして存在しません。

地政学的なリスクに対するヘッジという点においては保有する価値があるかもしれませんが、逆に言えば、地政学的リスクのヘッジ以外の効用はあまり無いと言えます。

通貨の信用力が相対的に低い新興国が金(Gold)を購入か

最近は自国通貨安に見舞われやすい新興国や、経済規模が大きくない東欧の中銀による買い入れが目立つ。
自国通貨の下落が続くカザフスタンは外貨準備に占める金の比率を大きく高めた。
(中略)
足元でも新興国を中心とした金買いは収まっていない。
21年は9月までにタイが約90トン、インドが約70トン、ブラジルは約60トンを購入した。

引用元:世界の中銀、ドルから金へ 保有量が31年ぶり高水準

どうやら自国通貨安の不安が高まっている新興国は金(Gold)を購入しているようです。
カザフスタン、タイ、インド、ブラジル、上記引用元記事では直接言及されていませんが、トルコも金(Gold)比率を高めているようです。

自国通貨の価値を高めたい場合は、外貨準備資産を売却して自国通貨買いを行う必要がございますから、今度は価値が高まっていくという予想から、金(Gold)を購入しているようです。

私個人として、アメリカ国債やアメリカドルを保有するのが一番安定的ですし、利子収入も入るから低リスク資産だと思っていますので、無駄骨というか失敗に終わるのではないかと。

最近まで、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は政策金利(FF金利)をゼロにして、なおかつ量的緩和を行っておりましたから、ドルの価値は低下しておりましたが、これから量的緩和の段階的縮小が開始され、利上げもございますし、どう考えても悪手のような気がします。

ニクソンショックやリーマンショックでUSドルに関する信用が低下したという話がございますが、それ以上の安全資産としては日本円やスイスフランぐらいでしょうから、金(Gold)を保有するぐらいなら、日本円やスイスフランを購入するべきなのではと思います。

先進国の中央銀行は利上げと量的緩和縮小に踏み切るようだ

想定以上に進む物価高で、緩和を続けてきた金融政策が転機を迎えている。米連邦準備理事会(FRB)は15日、量的緩和縮小(テーパリング)の加速を決めた。
終了時期を前倒しし、2022年中に計3回の政策金利の引き上げを見込む。
英国の中央銀行は16日、利上げを発表した。

引用元:米利上げ前倒し、インフレが背中押す 膨張債務にリスク

新興国の中央銀行は金(Gold)を購入することで、リスクヘッジする一方で、先進国の中央銀行は利上げや量的緩和の段階的縮小に動いているようです。

アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は量的緩和の段階的縮小を加速させ、来年の3月末には、量的緩和を完全に終了させるようです。

さらに、政策金利(FF金利)を来年中に3回も引き上げるようでして、株式市場は調整局面を迎えそうです。
※実際、利上げ段階において瞬間的にアメリカの株式市場が調整局面入りしたことがございます。

また、イギリスの中央銀行であるイングランド銀行は利上げを発表しました。
利上げしたところで、殺人通貨であるポンドを購入するのは自殺行為なので、私は購入しません。

政策金利の引き上げがインフレ対策になるのだろうか

量的緩和を段階終了するのは、米国経済がコロナ危機から脱しつつあるからだ。
インフレ率は4%を超え、FRBが目標とする2%を大きく上回っている。
インフレは米国の生活者の悩みの一つになっており、物価を抑えるために次は利上げに動かざるをえなくなる。

引用元:FRBの「テーパリング」で何が起こるか

アメリカの政策金利であるFF金利を現在の0%~0.25%水準に引き下げているゼロ金利を解除して、利上げを行い、インフレを抑止しようとしているわけですが、私は本当にインフレ対策になるのか懐疑的です。

フェデラル・ファンド(Federal Funds)レートのこと。
フェデラル・ファンドとは、米国の銀行が連邦中央銀行に預けている無利息の準備預金です。
米国では銀行間で日々このファンドの過不足を調整しあっており、そのときの金利を指します。

引用元:SMBC日興証券「FF金利」より

アメリカの民間金融機関の日々の業務において、準備預金(日銀当座預金のようなもの)が足りない場合は、民間金融機関で準備預金の余裕のあるところから融通してもらうことがあり、その時の金利がFF金利であり、アメリカの政策金利として位置付けられています。

そのFF金利が引き上げられて、例えば、0.25%~0.5%まで引き上げられた場合、民間金融機関の貸出に影響を与えるのでしょうか。

量的緩和によって、民間金融機関に準備預金が大量に供給されているので、準備預金に困る民間金融機関が存在するとは考えにくいですし、場合によってはFF金利で準備預金を調達するのではなく、レポ金利(国債を担保として準備預金を調達するレポ市場で適用される金利)で準備預金を調達することもございます。

民間金融機関の資金調達費用を増加させることで、貸出金利の引き上げを促し、民間企業や個人の設備投資や住宅投資を徐々に抑制することでインフレが抑制されるのでしょうか。

銀行では民間企業や個人に貸し付けを行う際に、準備預金の過不足を気にしません。
銀行口座に数字をキーボードタッチするだけで増やすことができますし、仮に準備預金が不足していたとしても、事後的に帳尻合わせするため、市場から準備預金を調達するだけでしょう。

そこまでインフレ抑制されるとはどうしても思えません。
資金需要が高まらない限り、貸出金利が上昇するとは思えません。

アメリカのコア・CPI(消費者物価指数)は確かに前年同月比で4%程度の状態が継続中であり、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の目標である2%を上回っておりますが、それは物流の混乱や給付金の影響が大きいです。

むしろ、短期的にはインフレになるかもしれませんが、長期的にはインフレ対策になる設備投資を促すことで、インフレを抑制するべきではないでしょうか。

道路整備や湾港整備、人を介在しない物流網の整備(ドローンなど)を行い、政策金利引き上げ以外のインフレを模索するべきです。

ステファニー・ケルトン教授がインフレの要因を分析して、その要因に対してきめ細かな対策を打つべしとの主張を我々は思い出すべきなのです。

以上です。

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