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反逆する武士

現代貨幣理論

現代貨幣理論を学ぶ意欲が無い方々。本質的な就業保証プログラム批判

投稿日:

現代貨幣理論の基礎
uematu tubasa著『現代貨幣理論の基礎

大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2021年6月20日(令和3年6月20日)

現代貨幣理論を理解しない池田信夫

MMT(現代貨幣理論)という奇妙な経済理論が流行している。
これは経済学界ではまったく認知されていないが、国債はいくら発行してもいいという理論なので、ゼロ金利が続いている日本では人気がある。

引用元:日本のデフレの正体は製造業の空洞化だった

池田信夫氏(以下敬称略)が上記引用元において、現代貨幣理論を批判しております。
本日の記事は池田信夫の現代貨幣理論に反論していく内容となっております。

何卒最後までお付き合いいただければ幸いに存じます。

まず、現代貨幣理論は大きく4つの柱がございます。

1、貨幣の起源、なぜ貨幣は民間経済において流通しているのか
2、民間金融機関の預金はどのように生まれるのか

3、変動相場制を採用し、自国通貨を保有する政府に財政的予算制約は存在しない
4、就業保証プログラムを導入して完全雇用を達成するべき

1においては、物々交換から貨幣が生まれてきたのではなく、貸借関係から生まれ、租税が貨幣を駆動することによって民間経済で流通しているという租税貨幣論を展開します。

2においては、民間金融機関の外部から現金が預けられる、または中央銀行からの金融緩和で貸出が増えるのではなく、個人や民間企業の資金需要が存在し融資先として適切な場合に預金が増えるという内生的貨幣供給理論を展開します。

3においては、為替レートをどのように管理するのかによって政策余地が変わり、自国通貨を保有している政府は非自発的な債務不履行には陥らないということを財政の仕組みなどから説明します。

4においては、インフレと完全雇用がトレードオフになっている不完全な現状を打開するため、非裁量的な財政政策として、就業保証プログラムという統一賃金で無制限に失業者を雇うという政策を主張しています。

就業保証プログラムに関しては、現代貨幣理論に含めるべきなのかという点は論争がございますが、少なくとも上記3つを正確に論じないと現代貨幣理論ではございませんし、これらを理解して批判しないと、そもそも批判にすらなっていないという悲しいことになります。

池田信夫は現代貨幣理論を全く理解しておりません。

サッカーには詳しくても現代貨幣理論は知らず

唐突な例えになりますが、MMT理論(現代貨幣理論)にすがり続ける日本政府の財政金融政策が債務不履行に陥れば即ハイパー・インフレ。
ビール一缶2万円なんて日々が訪れるかもしれません。
それがいわゆる財政破綻で、対策としてよく聞かれるのが基軸通貨のアメリカ・ドルを持っていなさいというご託宣。

引用元:プレミアリーグは戦国時代が到来! UKフットボールを愛する者たちへのアドレナリン!?【サッカー本新刊レビュー:老いの一読(1)】

上記の文章は佐山一郎氏(敬称略)が書いた文章のようです。
なぜサッカーの書籍を紹介する文章で上記のような文章になったのかは定かではございませんが、反論させていただきます。

現代貨幣理論の要諦とは、変動相場制を採用し、自国通貨を保有する政府には財政的予算制約は無いという事実です。

日本政府がそもそも債務不履行になるということは考えられません。
それは財務省ですら認めていることでございます。

※参考記事:外国格付け会社宛意見書要旨

自国通貨(日本円)を自由に発行できる日本政府がお金が足りなくなって、借金返済できないということにはなりません。

義務教育において、発券銀行としての日本銀行の役割を勉強しなかったのかと毒を吐きたくなります。
財務省造幣局においては硬貨を創っておりますので、日本政府にも通貨発行権はございますし、日本銀行は政府の事実上の子会社のようなものです。

財政破綻した場合はハイパーインフレという話がございますが、そもそも財政破綻はあり得ませんし、景気の自動安定化装置があり、自由競争の資本主義社会でもある我が国日本においてハイパーインフレは杞憂です。

そもそもハイパーインフレの定義をご存知なのでしょうか。

ハイパーインフレには有名な定義が2つございまして、フィリップ・D・ケーガンという経済学者は「インフレーション率が毎月50%を超えること」と定義しており、国際会計基準では「3年間で累積100%以上の物価上昇」をハイパーインフレの定義としています。

どちらの定義を採用しているのかを明記した上で、ハイパーインフレという言葉を使ってほしいですね。
デフレで苦しんでいる日本でいきなりこんなインフレになるというのは理解不能です。

就業保証プログラムとは何か

現代貨幣理論の唯一の政策提言とも言える就業保証プログラムについて説明します。

内藤敦之著『内生的貨幣供給理論の再構築』を参考文献とし、一部引用しつつ、説明させていただきます。

いわゆる「最後の雇用者」政策論は、有効需要論に基づく非常に積極的な財政政策の一環として、主張されている。
これは、雇用政策の一種であり、公共支出による財政政策ではなく、公共部門が失業者を雇用するというものであり、ほぼ同時にWray(1998)の「最後の雇用者(Employer of Last Report,ELR)」政策およびMitchell and Watts(2002)の「雇用保障(Job Guarantee,JG)」政策といった名称で提唱されている。

引用元文献:内藤敦之『内生的貨幣供給理論の再構築』pp282より

この就業保証プログラムを我が国日本に適用するとなれば、日本政府が働きたい人は誰でも雇う旨を宣言し、誰でも雇う際の賃金も公表し、最後の雇い手としての役割を果たすことになります。

雇い入れる際に、日本政府もしくは地方自治体が提示する賃金が実質的に最低賃金として機能します。

最低賃金を全国一律にして、さらに政治の力で引き上げることが可能になります。

不況期もしくは恐慌期において、失業者が増えた場合に雇用を維持することができ、好況期もしくは景気過熱期においては、政府及び地方自治体から民間企業へ労働力が移動します。

ある意味でのセーフティネット(安全網)として機能します。

これにはメリットがあり、金融危機や何らかの経済的なショックに伴う失業が発生したとしても、公的部門における雇用の創出によって、所得減少を最小限に抑制することができます。

失業手当や社会保障給付を最小限にすることができます。
失業に伴う、社会的費用を削減することができます。

失業に伴う社会的費用とは、人的資本の劣化(長期失業が招く労働力の腐食)、家族の崩壊、犯罪の増加、自殺の増加、医療費の増加などが含まれます。

この就業保証プログラムは強制ではなく、任意であり、労働する能力と意志のある者が最後の雇い手の対象になります。

したがって、非自発的失業を解消することができますが、自発的失業を予防することはできません。

なぜこのような政策が現代貨幣理論において論じられているかと申しますと、ヨーロッパやオーストラリアなどで高い失業率が継続していたからだそうです。

失業という問題が恒常的に発生する経済を分析するに当たり、就業を保障するような計画案が立案されたのではないかと推察します。

仕事内容に関しては、現時点で地方自治体や日本政府が担っている業務を失業者にも行ってもらうというワークシェアリングではなく、就業保証プログラムのために計画された非営利事業を行います。

完全雇用を達成するために、財政的予算制約が無い日本政府がプロジェクトを立ち上げて、無制限に雇用することで、社会全体の安定化を図るという一連の仕組みが就業保証プログラムなのです。

完全失業者をできるだけ少なくすることで、供給能力を毀損せず、不況下における所得の減少を最小限にすることが可能なので、ビルトイン・スタビライザーとして機能します。

私は現代貨幣理論における貨幣論の部分、租税貨幣論、内生的貨幣供給理論、財政支出におけるお金の流れ、貸借対照表や為替レートに関する説明の部分には賛同しておりますが、就業保証プログラムに関しては懐疑的だったり、批判的だったりします。

※過去記事:就業保証プログラムのサボタージュ対策はプログラム参加拒否が一番か

同一労働同一賃金に違反するのではないか

就業保証プログラムに関しては前述した通り、懐疑派です。

なぜかと申しますと、実現可能性が乏しいという点と、本質的な批判があります。
それは同一労働同一賃金に違反する可能性があるという点です。

就業保証プログラムはその制度上、統一賃金が定められます。
仮に時給1500円だとします。

とあるITエンジニアが公的部門のシステムメンテナンスを行った場合は時給1500円で、公園の掃除を行っても時給1500円だったとしたら、さすがに不公平感が大きくなり、同一労働同一賃金に違反します。

就業保証プログラムはその制度上、様々な仕事や様々なプロジェクトを公的部門(主に中央政府)が容易することになりますが、様々な種類の仕事を用意すれば容易するほど、同一労働同一賃金に違反してしまうという矛盾を抱えているのです。

さらに付言するならば、穴を掘って埋めるという無意味な仕事を生み出すことになり、本質的に意味のない仕事に失業者の人生が費やされるということになるかもしれません。

したがって、就業保証プログラムに関してはその理想とするところに共感しますけれども、実現可能性が乏しいという点で懐疑的にならざるを得ません。

以上です。

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