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反逆する武士

日本経済 現代貨幣理論

金融政策の基礎を学ぶ。法定準備率操作と最後の貸し手と預金保険制度

更新日:

中央銀行

大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2021年6月8日(令和3年6月8日)

準備預金制度とは

準備預金制度とは、対象となる金融機関に対して、「受け入れている預金等の一定比率(これを「準備率」といいます)以上の金額を日本銀行に預け入れること」を義務付ける制度です。
このようにして日本銀行に当座預金または準備預り金として預け入れなければならない最低金額を、「法定準備預金額」(または所要準備額)といいます。
本制度は、1957年(昭和32年)に施行された「準備預金制度に関する法律」により、金融政策の手段として導入されました。

準備預金制度の準備率については、日本銀行の政策委員会が金融政策決定会合において設定・変更・廃止します。

引用元:日本銀行HP『準備預金制度とは何ですか? 超過準備とは何ですか?』より

金融政策の手段の1つとして、マクロ経済学の基礎などの講義で確実に勉強するのが「準備預金制度」です。

民間金融機関などが、個人や法人の保有している預金の一定比率以上の金額を日銀当座預金または準備預り金として日本銀行に預け入れなければならない制度のことです。

その一定比率のことを「準備率」または「法定準備率」と呼称します。
準備率はどのような種類の預金をどれほど増やすのかによっても異なります。

現時点の準備率は1.3%が最も高いようでして、1991年から変更されておりません。
※参考:準備預金制度における準備率 公表データより

準備率を引き上げることで、民間金融機関などは個人や法人にお金を貸し出すことが難しくなります。

例えば、準備率が1%で、法人に対して100億円を貸し出すことになる場合、1億円の日銀当座預金が新たに必要になります。

短期金融市場が整備された主要国においては、日銀当座預金の調達が容易になりましたし、量的緩和などで民間金融機関などが保有する日銀当座預金が潤沢になりましたので、準備率操作というオペレーションは金融政策としてあまり意味をなさないようです。

2000年代の「量的緩和政策」(2001~2006年)や、「量的・質的金融緩和」(2013年~)の時期のように、日本銀行の潤沢な資金供給により、多くの金融機関が法定準備預金額を超える「超過準備」を有することが常態化してくると、準備預金制度に、各金融機関の日銀当座預金残高を安定化させる役割を期待することは難しくなります。

引用元:日本銀行HP『準備預金制度とは何ですか? 超過準備とは何ですか?』より

一部で、準備率を100%にして、民間金融機関などの貸出に制約を付与して、日銀のコントロールを強めようという意見もございます。

私個人としては、国民経済全体として好ましい結果になるとは思えません。

資金調達の方法として、間接金融ではなく直接金融が選択される可能性が高まり、一部のお金持ちによって支配されてしまう資本主義経済になる可能性が高まります。

例えば、新株発行を行い、株式市場からお金を調達したり、社債を発行して、債券市場からお金を調達したり、海外の機関投資家からお金を調達するということが増えます。

一部のお金持ちによる法人支配が強まるのではないかと危惧しております。

間接金融による安定的で長期的な融資というのが難しくなり、個人が住宅ローンを組めないという場合もあり得るのではないでしょうか。

金融不安定性への対処として、準備率100%というお話かと存じますが、むしろ金融不安定性を高める結果になるのではないかと。

※この件は引き続き研究が必要だと認識しています。
ご意見ご感想があれば、コメントをいただければ幸いに存じます。

最後になりますが、預金準備制度に関して詳細なブログ記事がございます。
日本の準備預金制度について

上記のブログエントリーを備忘録的に記載しておきたいと思います。

預金決済の実務と流動性

預金がおかねとして広く利用されている理由のひとつは、預金がいつでもおさつに換えて引き出せるからだと考えられます。
銀行は、中央銀行に預金口座(日本では、日本銀行当座預金 がこれに当たります)を持っていて、必要に応じていつでもおさつを引き出すことができます。

銀行は、中央銀行当座預金と、人々から預かっている預金という2つのものを使って、中央銀行と私たちとの間におさつを行き来させています。

引用元:日本銀行HP『決済と決済システムを理解するためのキーポイント』より

なぜ銀行預金は貨幣として民間経済で利用されているのかと申しますと、預金はいつでも現金に換えて引き出せるからです。

言い換えるならば、流動性が高いため、現金とほぼ同程度の価値があるものと認識されているのです。
であるならば、現金決済ではなく預金という形態のまま決済した方が便利なので、現金よりも広く民間経済に受け入れられております。

取引の当事者(AさんとB社とします)が、X銀行という銀行に銀行口座を持っている場合、AさんがB社におかねを支払うときは、X銀行にあるAさんの預金口座からB社の預金口座に振り替えを行うだけですみます。
ところが、AさんがX銀行に、B社がY銀行に口座を持っている場合には、X銀行がAさんの預金を減らし、Y銀行がB社の預金を増やすことによってAさんとB社の間の決済が行われます。

つまり、X銀行は、預金者から銀行をまたがった預金の振替を指示された場合、今度はY銀行との間で銀行間の決済を行わなくてはなりません。

引用元:日本銀行HP『決済と決済システムを理解するためのキーポイント』より

取引をする場合、取引主体が同一銀行に口座を持っているのか、別々の銀行に口座を持っているのかで預金決済が異なります。

同一銀行の場合は、Aさんの口座から金額を減らし、Bさんの口座の金額を増やすという単純な口座の数字の書き換えを行うだけで良いとのこと。

なぜならば、日銀当座預金の変動が発生しないからです。
同一銀行の預金総額は変動しないですから、日銀当座預金の変動も不要なのです。

別々の銀行の場合は、X銀行からY銀行に対して、日銀当座預金を振り込むという銀行間決済を行い、Y銀行の口座の預金を増やす必要があります。

預金保険制度とは

預金保険制度は、万が一金融機関が破綻した場合に、預金者等の保護や資金決済の履行の確保を図ることによって、信用秩序を維持することを目的としています。
預金保険制度により、当座預金や利息の付かない普通預金等(決済用預金)は、全額保護されます。
定期預金や利息の付く普通預金等(一般預金等)は、預金者1人当たり、1金融機関ごとに合算され、元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。
それを超える部分は、破綻した金融機関の残余財産の状況に応じて支払われるため、一部支払われない可能性があります。

引用元:金融庁HP『預金保険制度』より

貨幣創造などで、現金や日銀当座預金という裏付けの無い銀行預金ばかりということに不安になる必要はありません。

我が国日本の金融機関が万が一破綻した場合において、預金保険制度というものがございますから、当座預金や決済用預金などは全額保護されますし、普通預金なども1人当たり1金融機関ごとに合算され、元本1000万円までは保護されることになります。

具体的な預金保険のための実務を行うため、預金保険機構という団体が存在しております。

噂の流布によってとある金融機関の破綻が取り沙汰されると、いわゆる取り付け騒ぎが発生してしまい、自分が保有している口座の預金を現金にするか、他の金融機関へ振り込むことで預金の消滅から逃れようとします。

そうなると、財務状態や経営状態が悪くない場合であっても金融機関が破綻してしまう可能性があり、金融システムの不安定化を招きます。

金融システムの不安定性を緩和するため、預金保険制度を確立して、信用不安や取り付け騒ぎの発生をそもそも予防しているのです。

金融とはそもそも不安定なので、外部からの規制や制度などで安定的なものに変化または矯正しなければなりません。

最後の貸し手としての中央銀行

最後の貸し手(さいごのかして、英語: Lender of last resort)とは、他に貸し手が居なくなったときに最後に貸す貸し手。
特に、破綻に瀕した金融機関に対して、発動される中央銀行の機能のことを指す。
1873年恐慌のときにウォルター・バジョットが中央銀行の責務として主張したものであり[1]、数年後からイングランド銀行の不文律と化した。
日本銀行が発動するものは日銀特融とよばれる。
預金者の保護を目的に発動され、対象の金融機関に対し無担保で融資が行われる。預金者の保護を目的に行われるものであるが、反面モラル・ハザードを起こすことが懸念される。

引用元:Wikipediaより

上記はWikiからの引用なので、正確性に疑問符が付きます。
ただ、中央銀行である日本銀行が、預金者の保護を目的に「最後の貸し手」として破綻に瀕した金融機関に無担保融資をするというのを日銀特融(日本銀行特別融資???)というらしいです。

Wikipediaの内容だけですと、不安なので、日銀特融について規定されている日本銀行法第37条及び第38条について調べてみましょう。

第三十七条 
日本銀行は、金融機関(銀行その他の預金等(預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第二条第二項に規定する預金等及び貯金をいう。)の受入れ及び為替取引を業として行う者をいう。以下同じ。)その他の金融業を営む者であって政令で定めるもの(以下「金融機関等」という。)において電子情報処理組織の故障その他の偶発的な事由により予見し難い支払資金の一時的な不足が生じた場合であって、その不足する支払資金が直ちに確保されなければ当該金融機関等の業務の遂行に著しい支障が生じるおそれがある場合において、金融機関の間における資金決済の円滑の確保を図るために必要があると認めるときは、第三十三条第一項の規定にかかわらず、当該金融機関等に対し、政令で定める期間を限度として、担保を徴求することなくその不足する支払資金に相当する金額の資金の貸付けを行うことができる。
2 日本銀行は、前項の規定による貸付けを行ったときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣及び財務大臣に届け出なければならない。

引用元:日本銀行法第37条より

要するに、日本銀行はシステム不備や故障、その他の偶発的な理由(破綻の噂で取り付け騒ぎなど)によって資金不足に陥った金融機関に対して、無担保融資可能であるということです。

第三十八条 
内閣総理大臣及び財務大臣は、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第五十七条の五の規定その他の法令の規定による協議に基づき信用秩序の維持に重大な支障が生じるおそれがあると認めるとき、その他の信用秩序の維持のため特に必要があると認めるときは、日本銀行に対し、当該協議に係る金融機関への資金の貸付けその他の信用秩序の維持のために必要と認められる業務を行うことを要請することができる。
 日本銀行は、前項の規定による内閣総理大臣及び財務大臣の要請があったときは、第三十三条第一項に規定する業務のほか、当該要請に応じて特別の条件による資金の貸付けその他の信用秩序の維持のために必要と認められる業務を行うことができる。

引用元:日本銀行法第38条より

要するに、不測の事態(リーマンショックのような金融危機など)に陥った場合、内閣総理及び財務大臣は日本銀行に対して金融機関への貸付業務を要請することができます。

私なりに解釈させていただくと、キーボードをタッチするだけで日銀当座預金を増やすことができて、発券銀行である日本銀行は取り付け騒ぎなどで現金を用意しなければならない金融機関に無担保融資することで信用不安を取り除くことができます。

まさに、最後の貸し手であり、金融システムの安定化に寄与しており、預金者は安心して金融機関へお金を預けることができます。

以上です。

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