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現代貨幣理論

MMT(現代貨幣理論):その読解と批判を読む。現代貨幣理論の補助論か

更新日:

大変お世話になっております。
反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2019年7月4日(令和元年7月4日)

現代貨幣理論への批判が新たに発表される

本日は、現代貨幣理論への批判が新たに発表されましたので、ご紹介したいと思います。

批判すると言っておきながら、現代貨幣理論を補強するような理論を提示している点が見事と言えます。

普通は、預金を元手に銀行が貸出を行うことから信用創造がスタートすると考えられている。
しかし、MMT=信用貨幣論では「銀行が貸出を実行すると、直ちに同額の預金が生まれる」と考える。一般の人には不思議に思われるかも知れないが、これは金融界に属する人間には常識だと思う。
実際、貸出を行うということは(貸出に関する契約書等を別にすれば)、「貸出先の預金口座に貸出額に等しい預金を書き込む」ことに他ならないからだ。貸出の原資としての預金を事前に必要とはしない。
原資が必要になるのは、貸出先の企業が支出をすると預金が自行から他行に流出するからであり、その場合の不足資金は預金でなく市場(日本ではコール市場、米国ではFF市場など)で調達してもよい。

https://www.fujitsu.com/jp/group/fri/knowledge/opinion/er/2019/2019-7-1.html

私が現代貨幣理論を深く研究するに当たり、一番驚愕したのは、民間銀行では、民間企業や個人に対してお金を貸す際に、預金という制約がないということです。

いわゆる万年筆マネー(最近ではキーボードタッチ・マネーと呼称するのが適切)のことです。

貸出先の預金口座に貸出額に等しい預金を書き込むことにより、無からお金が創造されます。
これを貨幣創造と言います。

逆に、借金を返済するために口座から預金が無くなった場合は、貨幣破壊と言います。

無から生まれたお金が消滅することから、この呼び方は妥当と言えます。

イングランド銀行の四季報でも紹介されているこの話は、私が某国立大学で学んだ信用創造とは似て非なるものだったため、驚愕しました。

信用創造はファンタジーだが、あえて紹介する

私が大学にて学んだ信用創造をご紹介します。

First Step
とある日本人(A)が銀行に100万円預けました。

バランスシートにおいては、銀行にとっての負債が100万円(預金)増加し、資産が100万円(現金)増えました。日本人(A)の資産が現金100万円から預金100万円に代わります。

Second Step
その後、銀行はとある日本人(B)に、預金の内、90万円を貸しました。

バランスシートにおいては、銀行にとっての資産が90万円(預金)増え、それと同時に負債が90万円(預金)増えました。
日本人(B)は負債が90万円増え、資産が90万円(預金)増えました。

Third Step
日本人(B)は80万円を全額引き出しました。

その後、80万円で、国内旅行ツアーに申し込みました。
旅行代理店(C)はその80万円を銀行に預けました。

バランスシートにおいては、日本人(B)の資産は10万円(預金)になり、旅行代理店(C)の資産は80万円(預金)になりました。

銀行は、日本人(B)に対する負債は80万円(預金)減りましたが、旅行代理店(C)への負債は80万円(預金)増えました。

Fourth Step
銀行は、とある日本人(D)に、総預金額90万円のうち、80万円を貸出ました。

バランスシートにおいては、銀行の資産が80万円(貸出)増えて、負債が80万円(預金)が増えました。

日本人(D)は負債が80万円(借入)増えて、資産は80万円(預金)増えました。

確かに、某国立大学で学んだ信用創造だと、銀行にお金が預けられることからスタートし、その預金を元手にお金を貸し付け、世の中のお金がどんどん増えるという説明がなされます。

ただ、預金という元手という制約があるため、預金額以上の貸付ができないという説明でもあります。

井上純一氏(以下敬称略)のキミのお金はどこに消えるのかでもそのような説明がなされています。

現実ではそうではないということを主張しているのが、イングランド銀行の四季報だったのですが、半信半疑でした。

お金を借りたい人がいて、その人が銀行に、利子は払いつつ、借金を返済するだけの経済力と意志があると認められれば、預金額を気にすることなくお金を貸せるということです。

ただ、今回の早川 英男氏(以下敬称略)が「貸出の原資としての預金を事前に必要とはしない。」と明言してくださったので、大変嬉しく思います。

日本銀行にて、実務を経験している人間が断言しているのだから間違いないでしょう。

現代貨幣理論を補強していただき、誠にありがとうございます。

日銀の買いオペがあれば、利子と返済が実質不要に

ただ、以下の点は日銀出身者とは思えないような批判をしています。

(前略)
政府が国債発行で得た資金を使えば国債発行額と同額の預金が創出されるため、国債発行に制約はないと言う。
しかし、銀行システム全体としては国債発行と同額の預金が生まれるとしても、個々の銀行が国債を買う際には当然採算を考えなくてはならないし、長期国債の場合は資金を固定するリスクも考慮する必要がある。
結局、貸出市場の場合と同様に、銀行がどれだけ国債を購入するかは、市場の条件、すなわち現在から将来に掛けての短期市場金利の予想などによって決まることになる。
銀行により多くの国債を買ってもらうためには金利が上がる必要があるから、国債発行額が増えれば国債の金利は上がる。
国債発行に限界がないのではなく、金利という価格の制約が厳に存在するのである。

https://www.fujitsu.com/jp/group/fri/knowledge/opinion/er/2019/2019-7-1.html

銀行が国債を購入するときは、日銀当座預金が国債購入金額分差し引かれるので、預金とは全く無関係です。

早川は、銀行が国債を購入するときの原資が預金ではなく、日銀当座預金であることをご存知ないのでしょうか。

国債発行額が増えれば、国債の金利は上がる?
現実の国債金利はどうなっているのかご存知のはずですが?

楽天証券のサイトを見たら、10年物国債はマイナス金利状態ですよ?
-0.153%なのですが?
参考URL:https://www.rakuten-sec.co.jp/web/market/data/jp10yt.html

国債の金利は国債発行額や国債発行累積額によって決まるわけではありません。
民間経済が活発化しているか否か、もっと具体的に言えば、国債以外の資金の貸し出し先があるのか否かで決まります。

民間が投資に積極的なため、お金を借りたいということが増えれば、国債の金利は自然に上がります。

民間が投資に消極的で、お金を借りたいということが減れば(もしくは借金返済に励めば)国債の金利は自然に下がります。

さらに言えば、日本銀行が民間銀行から国債を購入すると、その買い上げた国債は実質的に無利子、無期限の国債となります。

日本銀行はジャスダックに上場している民間企業ですが、株式の55%を日本政府が保有しているため、実質的に日本政府の子会社となっています。

国債の償還期限が来ても、償還された分また国債を購入させることができます。
日本政府から日本銀行に利子が支払うことになっても、国庫納付金として日本政府に利子分のお金が戻ってきます。

参考URL: https://38news.jp/archives/03791

これは民間企業でも同じですが、子会社と親会社間のお金の貸し借り(利払いも)は、連結決算で相殺されてしまいます。
すなわち、「自分が自分にお金を貸した」こととなり、返済や利払いをする必要がなくなるのです (別にやってもいいですが、やらなくても構わない)。

https://38news.jp/archives/03791

連結決算での相殺により、利子を支払う必要もなく、返済する必要もない。
であるならば、日本政府の借用証書としての性質だけが残ります。

これを国債の貨幣化(マネタイゼーション)と言います。
貨幣とは、発行元にとっての負債であり借用書で、保有者にとっての資産になります。

日本政府が発行した国債は当然負債であり、保有している日銀にとっての資産となります。
国債が貨幣になるというそのままの意味になります。

あまりにも重厚な批判なので、明日に続く

今回は早川のMMT(現代貨幣理論)への批判を取り上げましたが、書いているうちに、朝を迎えそうなので、明日に続くということにさせてください。

以上です。

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