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反逆する武士

現代貨幣理論

貨幣負債論を歴史から読み解く。古代メソポタミアからイングランドへ

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反逆する武士

uematu tubasaです。
初回投稿日時:2019年7月15日(令和元年7月15日)

貨幣の「新」世界史より古代メソポタミアの事例

何世紀もの間、経済学者は物々交換が貨幣の起源であると主張してきました。
実際には、債務こそが貨幣の起源なのです。

古代メソポタミア文明においては、硬貨が発明される以前に利子付き融資が存在していました。

神殿、宮殿、有力者の家で働く人々(その当時においては裕福な人々)は銀や大麦などの商品価格に基づいて融資の金額を計算していました。

種子、ナッツ、オリーブ、穀物、牛などを必要とする農民が借り受け、余剰収穫物という利子付きで返済しました。

時代が進むにつれて融資に伴って発生する利子の支払い方法は多様化しました。余剰収穫物だけではなく、労役の形で利子の返済を求められることもありました。

銀で融資が行われるときは熟練労働者を提供し、大麦の場合は農作業に必要な労働者を利子として差し出すこともありました。

融資が行われるということは、融資された側が返済できない事態も発生しました。

その場合は、自己破産を宣言するという選択肢はありませんでした。
銀を融資してもらった場合は、銀での返済が原則ですが、それが無理な場合、家畜や食べ物を提供することもありました。

古代メソポタミア文明において、利子の割合は融資形式によって異なります。
季節毎に収穫の変動がある大麦での融資は、銀での融資よりも利子が高く設定されていました。

おそらく不確実性が高いため、利子の割合が高くないと採算が合わなかったのではないかと推察します。

貨幣の「新」世界史より古代中国の事例

古代中国の後漢の時代において、蔡倫という宦官が桑の木の樹皮をはぎ、そこから繊維と取り出し、紙を製造することに成功しました。

その後、唐の時代、商店ではお客様からお預かりした貴重品を銀行の貸金庫のように保管して、それを担保に紙の証書や受領書を発行しました。

その証書は取引可能でしたので、一種の貨幣として機能しました。
遠方の地域と商取引をして利益を得たい商人は、重たい金属よりも紙の証書を運ぶ方を好みました。

ある意味、商店が発行した負債がお金として部分的にでも流通することになり、しかもそれが紙幣という形態であったということになります。

イングランドの独創的な会計技術

12世紀から18世紀後半までの600年以上に渡り、イングランドでは単純だが独創的な会計技術が国の財政を支えていました。

財務省の割り符(タリー)という木の棒でできていて、財務省に対する支払い、あるいは財務省からの支払いの詳細が彫られていました。

木片には支払額を示す刻み目が必ず存在し、文字が併記されていることもありました。

地主が国王に支払った租税の受領書もあれば、逆に、国王が有権者から受けた融資の学が記録されていたものもありました。

財務省が発行する借用証書であり、それを利用して物やサービスを調達したり、税金を徴収したりしていました。

現在と根本的には変わりません。
イングランド銀行が発券銀行としての性質がない時代のことだとご理解いただければと存じます。

タリ―に支払いの詳細が記録されると、木片を縦半分に割って、取引の両者に渡し、それぞれ記録を保存できるようにしました。

債権者側の半分は「ストック」債務者側の半分は「ホイル」と呼ばれました。
イギリスで国債が「ストック」と呼ばれるのはこの時の名残りなのだそうです。

タリ―は柳の木なので、その木片には特徴があり、偽造するのはほぼ不可能でした。
天然の偽造防止機能付きというのはハイテクノロジーと言えます。

タリ―は持ち運びが楽なので、財務省の信用証を第三者に譲り渡すことができました。

別の債務返済に充てることが可能になったのです。
タリ―は中世イングランドの貨幣のようなものでした。

通貨の日本史より、古代日本の債務証書

我が国日本の歴史の中で一番有名な貨幣とは何かと申しますと「和同開珎」です。

それは商品貨幣という性質のものではなく、政府の借用証書でした。
下記において、『通貨の日本史』から一番重要なところを抜き出したいと思います。

要するに、朝廷が必要な物資や労働力を銭で調達できればよい、言い換えれ ば国家支払手段の機能を朝廷は期待しており、一般的な交換手段の機能を第一目的にしていない。
政府事業への物資や労働力の提供に対して朝廷は銭を渡し、納税や位階・官職 の対価として銭を受け取ることで朝廷は債務を弁済するという、政府側の負債 から始まる回路が銭の価値を保証する。
銭の素材価値が保証するわけでは必ずしもない。
このことから、和同開珎は政府の債務証書である、といえる。

高木久史. 通貨の日本史 無文銀銭、富本銭から電子マネーまで (中公新書) (Kindle の位置No.302-306). 中央公論新社. Kindle 版.

政府は公共事業を行う際に、資材と労働力を提供してくれた民間企業に対して負債が生じます。

どうにかしてその負債を帳消しとする必要があります。
そのために渡すのが国家が法で定めた通貨なのです。

日本政府は公共事業を行う際に、日本円を民間企業に渡すことになります。
さらに、日本政府はその日本円での納税手段として認めることで、通貨の需要を発生させております。

貨幣の本質は何ら変わってはおりません。
貨幣とは政府の借用証書であると言えます。

以上です。

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